ドイツ国立ケルン体育大学と協働し、5年の歳月を経てウィルクハーンが独自に開発した、ワーキングチェアのリクライニングをコントロールするメカニズム。それがトリメンションです。
トリメンションの開発がはじまった2005年当時、すでにほとんどのワーキングチェアは背もたれが前後に動く機能を備えていました。しかし、裏を返せば、誰も背もたれの左右の動きや、傾く座面の必要性に気づいてはいませんでした。
前後、左右、そしてそれらが組み合わさった回転運動ー人間の関節の動きをモデルに設計されたトリメンションメカニズムは、ユーザーとシンクロするかのように動く背もたれと座面をワーキングチェアにもたらしました。つまり、ユーザーの身体の動きを制限せず、ダイナミックにサポートすることを可能にしたのです。
座面は+12度から−5度、背もたれは最大28度、前後に傾斜します。加えて左右に最大13°傾く広い可動域を持ち、トリメンションの特性を十分体感することができます。
三次元シンクロメカニズムを搭載した2つのモデル、INとON。INは、ONよりより幅広いユーザー層にトリメンション搭載のチェアを使用してもらえるよう、コンパクトなボディを持ち、エコノミーな価格の「弟分」として製品化されました。家具に限らず自動車などでも、価格の下がるモデルを発売するときは、今あるモデルから外装材のグレードを下げたり、付加する機能を減らすなどすることが通常ですが、ウィルクハーンは構造と原材料の見直しを一からおこない、同等の機能性を維持しながら、まったく異なる製品を新たに生み出しました。
「十分に吟味し、細部まで完成度の高い、本物のクオリティを兼ね備えた製品を世に送り出すこと」- INは、ウィルクハーンの姿勢を体現したかのようなプロダクトです。
トリメンションの心臓ともいえる、座面下のメカパーツの中心をなすのは大きなばね。ONは2本のばねが別々に動くことによって、立体的な背座の動きを生み出していましたが、INではそれを1本のばねでコントロールしています。極限まで部品を減らしコストを下げる、ウィルクハーンのイノベーションは、内部メカニズムにも行き届いています。
しなやかで立体的な背座の動きをつくり出すのは、メカパーツだけではありません。ばねの動きを最大限背座に反映するため、背座フレームには「2-component technology」と呼ばれる、最も画期的な技術が取り入れました。これは高度なコンピュータプログラムによって、場所ごとにかたさを補強するグラスファイバーの混合率を変えることができる技術です。これよって、ひとつなぎのパーツであるにもかかわらず、ねじれる動きが要求される背もたれ部分は柔らかくしなやか、一方引き受ける荷重が多く負荷の大きい腰の部分はかたいというように、場所によって特性の異なるフレームが実現しました。
座面下のメカパーツを覆う黒いカバーも、2-component technologyを用いて成型されています。蛇腹になったやわらかいゴムのような部分と、その周囲の電子機器の筐体のような硬い部分が、別々の素材を用いたパーツを組み合わせているのではなく、一度の成型で出来上がる1ピースであることに驚かされます。
3次元にしなるフレームにも美しくフィットする専用の3Dニット生地が新しく生まれ変わりました。
新しい『ReForm』シェイプニットは、10色のカラーバリエーションで、INに洗練されたデザインとサステナブルな魅力をもたらします。
100%リサイクルポリエステルを使用した2色の糸により、編み柄によってどちらかの色が際立ち、豊かな表情を生み出します。さらに、配色の切り替えがタスクチェアのスポーティな印象を一層引き立てます。
オフィス空間を明るく、軽やかな印象に演出するホワイトシェル仕様は、シェル・フレーム・ベースだけでなく、ガスリフトやメカニズムシェル、キャスターもホワイトです。加えて、標準(ブラックシェル)仕様ではブラックのレバー・ダイヤルもグレーに変わります。視覚的なノイズとなりうるブラックカラーを極限まで排した、こだわりの仕様です。

